「虹の花」ジャーマンアイリス
植え付けの時期
早春から秋までの間に植え付けるのが基本ですが、土が凍結していない限り、いつ植え付けても大丈夫です。ただし梅雨のない寒冷地では生育期間が短いため、早春の植え付けが望ましいです。また、暖地では梅雨の雨と秋雨にあうと軟腐病が発生しやすいので、この時期を避けて霜が降りるまでに植え付けます。
植え付け方法
生育がよいのは露地植え(畑地や花壇)が一番です。水はけのよい場所であれば、土質は問いません。
露地植えでは、1株に対して、大さじ1程度の草木灰と有機石灰のみ与えます。逆に化学肥料を大量に入れている場所は軟腐病にかかってしまう危険があります。原則として元肥も追肥も必要ありません。
プランターや鉢植えの場合は、緩効性のチッソ分の少ない肥料を少量与えるだけで十分です。
露地でもプランターや鉢植えでも、図2のように球根の背中を出して植え付けます。球根を土の中に完全に埋めてしまうと軟腐病にかかり、枯死してしまいます。 潅水は植え付け時も生育途中も必要ありません。
畑地では植える場所に高さ15〜20pくらいの畝を作って植え付けます(図1)。
葉のついている方に伸びて分球していきますので、植える向きを考慮して植えます(図2)。
庭に植え付ける場合も、排水のよい場所に少し土を盛り上げて、生育方向を考慮して植え付けます(図3)。
日当たりのよい、直接雨のかからない軒下などはよい場所です(図4)。
プランターに植え付ける時は、市販の花の土に草木灰と有機石灰を大さじ1程度混ぜて植え土とします。トール種の場合、大きめのプランターで3株植えにするのが目安です。葉の後ろの方向に生育するので、生育方向の間隔を空けるようにして、植え付けます(図5)。メディアン種やドワーフ種の、中型、小型種は露地だけでなくベランダ等で鉢やプランターでの栽培も適します。
駄温鉢では、8号鉢以上のサイズに植え付けます(図6)。用土と植え方はプランターと同じです。
1.潅水と追肥
植え付け後、露地栽培や花壇の場合は潅水や追肥は必要なく、むしろやってはいけません。過肥や過潅水は軟腐病の一番の原因です。プランターや駄温鉢栽培の場合も雨水があれば十分です。雨のかからない所では、植え込んだ土が乾いたら、直接株や葉に水がかからないように株元に適時潅水します。追肥は、市販の土や畑の土では必要ありません。
2.枯れた葉の処理
生育していくと枯れた葉が発生してきます。順次かきとることがよいのですが、軽く引っ張ってもとれない枯れ葉は無理にとってはいけません。雨の前や雨中では、枯れ葉を無理やりとった傷跡から病気が入る恐れがあります。
梅雨のある地域での管理
梅雨のある中間地や暖地では、花が咲いた(地温が20℃を超える)ころから軟腐病が発生しやすくなります。雨の前や雨中では、切り花をしたり、除草作業で葉を傷つけてはいけません。傷口が濡れると菌が入り込み、軟腐病が発生します。除草や枯れ葉の除去は軟腐病の発生を減らす重要な作業ですが、葉や茎を傷つけて病気を誘発していることが少なくありませんので、慎重に作業してください。
3.除草作業
畑地や花壇では、ジャーマンアイリスは草に巻かれると光を遮られ、生育が落ちます。すると同時に軟腐病が発生しやすくもなります。除草して風通しをよくすることが病気を防ぐ秘訣です。
4.病害虫と対策
主な病気と害虫は、軟腐病とアブラムシやアオムシなどです。軟腐病は病気を防ぐ薬剤はありませんので、植え付け後の管理が重要です。害虫の対策は、テントウムシがいる畑や庭ではほとんどアブラムシがいなくなります。殺虫剤を使わないことが結果的にアブラムシを発生させないことにつながりますが、花壇やプランター、鉢などの場合、適宜薬剤で対応してください。アオムシは捕殺することで、ほぼ対応できます。
5.株分けの方法
植えたままにすると、2〜3年で花が上がりにくくなり、また貧弱になってきます。植え替えることで生育がよくなり、すばらしい花が蘇ります。1年ごとの植え替えを原則に掘りとりして、株分けはくびれた所を折りとって小分けします。株を折り分け、葉と根を切ると、苗の完成です。残った親株に小さな芽でもあれば、植え付けると大株に生育します。(図7)
軟腐病が発生したら!!
すべての株を掘りとり、病株のやわらかくなっている所をヘラなどでかき取って、水道でやわらかい部分を洗い流します。さらに草木灰を擦りつけて風通しのよい場所で乾かしましょう。乾燥株を適期に植え込むと復活します。
ジャーマンアイリス栽培を始めおよそ50年。現在約750種を栽培し、品種、栽培の研究を行っている。二季咲き品種をはじめとして、多くの人に愛される新品種を開発中。 |